あらすじ
地方都市にある築50年以上のボロアパート『夕暮荘』。
そのアパートに越してきたのは、人生に疲れ切った20代後半の鈴木一朗。
仕事でもミスを繰り返し上司からもこっぴどく怒られ、同期からも疎まれているのを感じながらも、なんとなく生きるために会社に出勤していた。
趣味もなく、彼女もいないつまらない日々を淡々と過ごしていた。
何もかも投げ出したくなる気持ちを押さえながら、家賃の安さに惹かれこのアパートに引っ越してきた一朗だが、そこには思わぬ住人が住み着いていた。
普通の人間なら有無を言わせず追い出すはずだが、1週間も食事にありつけなかった咲を追い出す訳にはいかず、残っていた食材で食事を作ってあげることに。
その料理の腕に咲は料理人としての素質を見抜いていた。
一朗も美味しそうに食べてくれている咲の姿を見て、調理している自分が生き生きしているように感じていた。
咲と食事を通しての共同生活が始まり、色々なハプニングに見舞われていく中、最大の危機が訪れる。
一朗の会社が多額の負債を抱え倒産してしまった。どうすることも出来ない一朗は、しばらく何もする気にもなれず辛い気持ちを、お酒でごまかそうとしていた。
咲が来てから良いことがなかった一朗はとうとう咲に対して怒鳴り声をあげてしまう。咲はそんな主人公に動じる事もなく、不幸はチャンスの入り口だと言う。
「チャンスを物に出来るのはやる気と根気だよ、おまんにその気がないのなら、それまでだけどさ」
その言葉に一朗はもう人生を諦めたくないと一大決意した。
その中で咲と一緒に過ごす日々が一朗にとって大切な時間だと思うように。
夢にも一歩一歩近づこうとしていたが、彼女の姉が現れ夕暮荘を離れる時が来たと咲に告げる。
料理人としての道を歩み始める一朗と、役目を終えて去る決意をする咲。
数年後の桜が満開の季節、突然姿を消した咲を思いながらも充実した毎日を送る一朗の前に現れたのは・・・。