あらすじ

都会の片隅にぽつりと残るレトロな街並みで、不可解な事件が次々と巻き起こる──。 刑事・二階堂真央は、中央署から“左遷”同然に送られた先の分室で、奇妙な死のニュースに遭遇する。地方の温泉旅館で起きた溺死、廃墟となった洋館での殺人、謎の失踪者。陰惨な空気が漂う一方、底知れない闇に踏み込みたがるフリージャーナリストの山科や、有能だが生真面目な同僚・東川らと共に、二階堂は真相を追い始める。 温泉地に建つ古い洋館、そして都会の街外れにある廃墟の洋館。時代に取り残された二つの場所を軸に、事件の裏ではあるIT企業や裏社会が複雑に絡んでいるらしい。亡くなった被害者は企業の研究者で、命の危険を感じて逃げ回っていたという。彼と接触したバイトスタッフの失踪、そして同じく謎を抱える海沼家という一族の影が浮かび上がる。 一方、容疑者や証言者たちは一筋縄ではいかない人ばかり。旅館の常連客、財産を狙う者、過去のしがらみを晴らそうとする者──彼らは皆、それぞれに秘密を抱え、嘘をつきながらも真実を求めている。誰が真犯人で、誰が被害者か分からない状況下、あちこちに張り巡らされた伏線がやがて一つに繋がろうとする。 二階堂たちが目を凝らすほどに、事件の背後には古くからの家系と現代のビジネスが結託した驚くべき陰謀が潜んでいることがわかってくる。ある天才プログラマー“マリエ”の存在が、真相解明の決め手となるのだが……。次々に犠牲者が増えていく中で、犯人の影はいよいよ鮮明になり、廃墟に隠された“宝箱”や秘密文書が明るみに出る。 ノスタルジー漂う街並みや古びた洋館にまとわりつく、不穏な静けさとそこに渦巻く人間の欲望。探偵小説ならではの緻密なトリックと、多層的な謎の展開が、読み手をぐいぐいと引き込んでいく。人々の過去や傷が次々に暴かれ、最後に待っているのは壮絶な対峙と意外な結末。闇に沈んだ街で灯る“巡り灯”の正体を知ったとき、きっとあなたはぞくりとする読後感に包まれるだろう。

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小説を読もう2024/12/25
  • 現在の作品巡り灯(ともしび)の街で――沈黙を運ぶ風