あらすじ
「親父、この家を売ったってどういうことだよ!」
とある邸宅。そこに住む父親には三人の息子がいた。全員結婚し、それぞれ家庭を持っていたが、実家を売却したという知らせを受け、この日急遽集まったのだ。
「そうだよ、父さん。何の前触れもなくて本当に驚いたんだから」
「五千万円以上の価値があるだろう。それを全部使い切ったって言うんだから、みんな心配しているんだ。父さんがボケ、いや、騙されたんじゃないかってな」
父親を想う息子たちの気持ちに嘘はない。確かに遺産の取り分が減るのは口惜しいが、彼らはそれぞれ堅実な職に就き、生活は安定している。父親が詐欺や怪しい宗教の被害に遭ったのではないかと本当に心配していたのだ。
父親は三人の顔をじっくり見てから、静かに口を開いた。