あらすじ
まさか野良猫に傘を貸す不良が現実にいるなんて思いもしなかった。
同級生の湖月はわかりやすく不良だった。
目つきの鋭い怖い顔、着崩した制服にピアス、授業には平気で遅れてきて反省の色もない。
席替えで窓際の後ろの席を引き当てたけど、唯一の隣が湖月で羨望よりも同情を向けられる残念な席になってしまった。
雪が降る聖夜の帰り道。
公園のベンチで野良猫を抱いて、傘を貸して震える湖月を見つける。
あまりにも鉄板すぎる光景に驚きはしたものの、困ってる同級生を見捨てるのは心苦しい。たとえそれが、教室を恐怖で震え上がらせている不良であってもだ。
湖月から事情を訊き、猫を預かることになった。
このことをキッカケに湖月と話すようになっていって、実は彼女が不良じゃなくってただただ不器用な優しい女の子でしかなかったのを知っていくことになる。
母子家庭の貧乏な家。
育ち盛りの小さな弟妹たち。
家族を支えるために昼夜を問わないアルバイト。
そんな湖月の優しいウラ側を次々知って、次第に惹かれていくのを俺は抑えられないでいた。
「どうして、そんなに優しくしてくれるの……?」
どうしてって。
――好きだからに決まってる。