あらすじ
ヘリの中は、プロペラの音にまみれていた。
けれど、ボスの太い声だけは正確に耳に届いた。
「あんたを今後も使うかどうか、今日が最後の試練だよ!!」
「アイ、ボス!!」
怪盗団の見習いとして、仕事を始めて半年。
おばさん……もとい、ボスにこき使われながら、ようやく正式に一団に入れるかどうかの瀬戸際まで来た。
「午前中の仕事のへマはひどかったけど、今夜の仕事は一団総出でやるんだ、ヘマだけはするんじゃないよ!!」
「アイ!! ボス!!」
許される返事は基本はこれのみ。
「流れは説明した通り、質問は?」
「侵入方法だけ聞いておりません!!」
「バカだねえ、何のためにヘリを出してると思ってるんだい? 地上82階、展覧会の間に侵入するには上からしかない。
説明するまでもないよな? ん?」
「え、あ、はい」
「返事は?」
「アイ!! ボス!!」
「それからカウントダウンの仕方は?」
カウントダウン? 何の? と聞き返す時間はなかった。
「さん、にい」
ボスのその声とともに、ヘリのドアが開いて乱気流がなだれ込む。
「いち。この中で一番命の価値が低いのは?」
「いっつみー……」
「よくわかってるじゃないか、逝ってこい」
どん、と突き飛ばされ、
「うわああああああああああああああああああああ」