あらすじ

薫子の意識が、夢と現実の狭間をさまよううちに、ゆっくりと浮上してきた。目を開く前から、彼女の感覚には違和感が広がっていた。まるで、体が宙に浮いているような、不思議な感覚。重力から解き放たれたかのように、彼女の身体は虚空に漂っているようだった。  ようやく、薫子は目を開けた。  瞼の裏に広がっていた闇は、ゆっくりと色を帯びはじめ、やがて鮮やかなモザイク模様へと変わっていく。それは、まるで万華鏡の中を覗き込んだときのような、幻想的な光景だった。  薫子は周囲を見回した。  自分がいるのは、どこか見知らぬ場所のようだ。頭上には、果てしなく高い天井が広がり、まるで空に向かって伸びる塔の中にいるような錯覚を覚える。壁は、色とりどりのステンドグラスで装飾されていて、そこに差し込む光は七色に輝いている。まるで、虹の欠片が散りばめられたかのようだ。  床の感触は、不思議なほど柔らかい。まるで、雲の上を歩いているような心地よさがある。薫子は、自分が夢の中にいるのではないかと疑った。ここは現実の世界とは、あまりにもかけ離れている。  立ち上がろうとしたとき、薫子は自分の手首に違和感を覚えた。見ると、そこには黄金の輪のようなものが巻きついていた。その輪は、細い鎖でどこかにつながっているようだ。鎖は果てしなく長く、その先は見えない。まるで、運命に操られる人形のように、薫子は見えない力に導かれているような気がした。  周囲を探るように歩き始めると、薫子の耳に不思議な音が聞こえてきた。まるで、遠くの方で誰かが歌っているような、幻想的な旋律だ。その音は、まるで蜃気楼のように揺らめき、薫子を惹きつけずにはいられない。  導かれるように歩を進めていくと、やがて薫子は巨大な扉の前に立っていた。扉には、複雑な模様が刻まれている。まるで、古代の魔法陣のようだ。その模様を見つめているうちに、薫子はその先に広がる神秘の世界を予感した。 (ここは一体、どこなの……?私は、なぜここにいるの……?)

連載情報

ウェブ小説

配信言語
カクヨム
カクヨム2024/07/17
  • 現在の作品【短編小説】永遠の迷宮 ―根源への問いかけ―