あらすじ
鏑木雪穂は、母親に対して異常なまでの愛情を抱く少女だった。
実の父が末期の癌で死ぬ時にも、父よりも、愛する夫をもうすぐ失ってしまうという事実と、慣れない病院での介護生活で精神的にも肉体的にも疲労している母の身を案じるほど、その愛情は深く、そして異常なものであった。
それから五年の間に、母には様々な災いが訪れる。
愛する夫の死、家を手放し戻った実家での両親――即ち雪穂の祖父母――からの虐待、罵倒、祖母の命令での強引な再婚、再婚相手の暴力、離婚の話に応じない再婚相手からの逃走、ようやく落ち着いた都内の安アパートでの極貧生活。
母の側にいて、それらをずっと見て来た雪穂は、少しずつ精神が歪んでいった、いつしか彼女は、母を苦しめるモノを全て排除したい、そう考える様になっていた。