あらすじ
先日、73歳の父がこの世を去った。片手で数える程しか本屋がない南国の離島に住む父は、わざわざ飛行機に乗って都会の大型書店に本を探しに行くほど無類の本好きだった。
そんな父の遺品整理をしていると、山積みの書籍の中から萌葱色をした無地の古びた本が出てきた。どうやら父が27のときに書き、手ずから製本したものらしい。
タイトルは『人生論』。いわゆる父の黒歴史だが、その中身は非常にまっとうで、父なりの哲学で綴られた文章がとても美しかったため、これを家族だけで消化するのはもったいないと思い、私の独断でネットの海に放出させていただく。
親愛なる父へ。恨むなら自身が作家の息子を持ってしまったこと、そしてネットが存在する時代を恨んでほしい。