あらすじ
天使を見たことがあるだろうか。
そんな問いは、それどころか天使という単語さえ日常のなかで頭によぎることのなかった遠藤惟親(えんどうこれちか)は、ある日突然その存在を叩き込まれることになる。
高校生活最初の夏休みのある日、惟親は思春期に特有の気の迷いから、ひとりになるために学校のプールへやってきていた。彼はそこで何も考えずにぼんやり空を眺めて時間を過ごそうとしていたが、空から飛来してきた何かがそれをさせない。
プールに突っ込んできたのは、天使だった。
プールサイドで爆発した水を浴びてびしょ濡れになりながら彼は目を疑う。これは本当に現実なのだろうか、と。
やがて二人は場所を移し、そこで惟親は天使のある目的を尋ねる。それは惟親には縁遠いものであり、なかなか実感の湧きにくいものであり、何よりも実行可能であるとは思えなかった。しかし惟親はそれを否定しきることができない。なぜなら目の前の存在があまりにも非現実的だったからだ。
そして惟親の不注意から妹である玉緒にも天使の存在が知られることとなり、彼女を巻き込むことで惟親は手出しできることがないと思っていた天使の目的への協力を余儀なくされる。その目的の達成は、惟親を含むおよそ一般人が数名いたところでどうにもならないとされるほど困難なものだった。
しかし彼にはそれを可能にするひとつのアイデアがあった。アイデアを出して、と言われた全員が思いつくわけではないが、それでも結構な人数が思いつける簡単な計画。しかしそれにはただひとつだけ条件があって、それは日取りだった。天使と惟親が出会った今日にしかできない、特別感の薄い特別な計画。存在がバレると何かと厄介な天使の存在を隠しつつ計画を実行するために、妹の協力を得て彼らは動き出す。惟親に連れられて夜を抜け、天使は計画のための場所にたどりつく。細部はおろか概要もつかめないまま天使が目にしたのは――。
これは、天使が感情を学習する物語。