あらすじ
幼い頃は、現実から逃げるために眠った。
大人になると、逃れられない朝を憎んだ。
「私ごときが王家に嫁ぐなど、畏れ多いことでございます」
下位の身分からでは婚約を拒絶することも出来ないマグノリアが、何度もそう告げるたびに、ピエトは鞭で打たれるような屈辱を感じた。では、私は?マグノリアが言う「私ごとき」にさえなれない己は、いったい何なのだと。
そうして、ピエトの心は冷えきって、いつしか凍りついてしまった。
マグノリアにかけられる期待の、ほんのわずかでもかけられたことのない、それでもマグノリアを妃に迎えられる『幸運な王子』は、いったいどんな王になれると言うのだろうと思いながら。
公爵令嬢との望まない婚約、身分と幼い恋に翻弄され、ピエトの春