あらすじ
操魂術師《そうこんじゅつし》ネオマルクス現る。
彼女は特別な力を持っていた。
力というのは、全ての人類の魂を、肉体はそのままに、定期的に無作為に入れ替える、というもので、それは、天啓を受け開花したものだった。
彼女の力により、頻繁に魂の移動を強いられた人類は、全てのレッテルを失った。
肩書き、地位、財産、権力。
それらは全て、一朝一夕で築くことのできるものではない。
いくら自分がどこそこの権力者だ、王だ、貴族だ、名士だ、などと自称しても、昨日の自分と今日の自分の姿が異なるので、誰も信じてはくれない。
世界から、レッテルというものは、駆逐《くちく》された。
もちろん、レッテルに依存していた社会は、産業、金融、経済、国家など、それが内包しているあらゆるものと同時に、崩壊した。
人々は、野生への回帰を、余儀なくされたのだ。
そして、ネオマルクスは、「赤裸主義《せきらしゅぎ》」なるものを掲げた。
——レッテルを排除することで人類は剥き出しの姿になり、真に純粋な、平等が実現する——
人々は、大地で、森で、海で、新たな生活を始めるのだった。