あらすじ
「エリちゃんがさ、秀樹のこと好きみたいなんだけど」
冬も近づいてきた11月のある夜のこと。そろそろ寝ようと布団でぬくぬくしていた俺、中野秀樹(なかのひでき)に仲の良い女友達からそんな電話がかかってきた。彼女の言うエリちゃんとは同級生にして幼馴染である二岡恵利(ふたおかえり)のこと。
なんでも彼女から俺が恵利のことを好きかどうか探って欲しいと言われた、らしい。
俺と恵利は小学校からの付き合いだ。内気で恥ずかしがりなところのある彼女のことを好ましく思っていたけど、彼女がどう思っているかを測りかねて、ずっと「仲の良いお友達」的な関係を抜けきれずにいる。
そんな彼女が俺のことを好いてくれている。普通なら大喜びでもしそうなものだけど、ふと、俺の中に悪戯心が湧いてしまった。
(決定的な返事をせず、彼女がどういう反応をするか楽しんでみたい、と)
冷静に考えれば、どうかしているとしか思えないのだけど、とにかく弄ってみたくなったのだから仕方がない。
というわけで、作ってきてくれたお弁当を褒め殺ししてみたり、それでいて彼女からの好意に知らんぷりをしてみたり。あるいは、デートに応じておきつつ、決定的な返事を保留する。そんな阿呆なことを一週間以上続けていたわけだけど。
「秀君。ここ最近の態度は一体全体どういうこと!?」
放課後の屋上、彼女からの呼び出しに応じてみれば怒気を孕んだ彼女からの問い詰め。
これは純情で可愛い幼馴染からの必死のアプローチを弄んだど阿呆な男の末路である。