あらすじ
大学院の前期課程を修了した井伏裕司は、国立市にある私立の研究機関・国立生化学研究所に入所し、動物の生態調査や解析に勤しんでいる。研究員としては、パッとしない日々が続く中で、唯一の理解者は、一流大学の後期課程を修了した三年後輩の女性で上司の芥川野江博士である。野江の美貌に魅了された裕司は、二人の交際に漕ぎ着け、それなりに充実した私生活を送っていた。
優秀な野江の指導の下で、哺乳類の生殖活動をテーマにした研究で、プロジェクト・チームが発足した。サブ・リーダーに抜擢された裕司は、張り切って研究に取り組んでいた。
そんな矢先、研究中のトラブルで、細胞膜に人型フェロモン、他の哺乳類のフェロモン物質が浸潤したため、超モテモテ体質に変貌する。
日本女性の約七十一%に反応する特異体質になった裕司は、どこへ行っても大勢の女性たちに、追いかけられる羽目になった。
人も羨む状況にありながら、女たちのバイオ・ハザードは凄まじく、順調に交際が続いていた野江との行方に暗雲が垂れ込める。上司で恋人の野江からも、一時は疑念の目で見られる展開に陥る。
平凡な男が、大半の女性に慕われて、付き纏われるために、町中のいたるところでパニック状態が発生する。裕司が、テレビで活躍中の人気タレントに、よく似ていたことも騒動を大きくした。
研究所は、不測の事態に対応しきれず、長期欠勤による減給や解雇をちらつかせ、女性たちの交際相手の乱暴な男たちから、脅される状況に発展する。
生真面目な裕司は「人類の生殖本能を翻弄した罰なのか」と、嘆き苦しむ中で、野江は献身的に支える。
やがて、裕司の特異体質が利権につながることに気づき、悪用しようと目論む秘密結社「天道」に追われる。天道は、中国製の麻酔銃で裕司を捕獲する構えを見せたかと思うと、屈強な格闘家たちを支配下に置き、裕司の行方をどこまでも追跡してくる。