あらすじ
舞台は近未来の日本。
普通の人には見えないものが見えるかもしれないと自覚している石田洋一朗は不穏な噂が流れているある中学校で教員をしていた。
ある日、退勤途中のバスから路上に立っている少女を目にして驚愕する。
その少女とは祖父が残したアルバムの中に隠されていた一枚の写真に写っている人物と瓜二つだからだ。
石田は実家に帰り祖父のアルバムを引っ張り出すとそこには祖父からの手紙も挟まっていた。
内容はその写真を撮った経緯が記されており、祖父もまた早逝した長男が残したアルバムにこの少女が写っている写真を見ていたことから思わず撮った一枚であったと知る。
このことから少女は現在まで歳をとっていないことを意味した。
また手紙ではなぜ石田がこの写真を幼少期にこっそりと発見してもこの少女は何者なのかを訊ねてこなかったのも問うていた。
その理由とは石田にとってこの少女とは初恋の相手だからだ。
しかも出会った場所は夢の中である。
この少女は実在してかつ歳をとっていない——彼女は一体何者なのか?
石田の探索が始まる。
自分のような目撃者は他にはいないのか?
石田は情報収集をする。
インターネットで検索をしてみると同じように歳をとらない人物のエピソードが載っているサイトに行き当たる。ここには閲覧者から寄せられた怪談が掲載されていた。
石田はそのサイトの管理人である葉山詩織に自分の目撃談を送る。
それに衝撃を受けた葉山は石田と会いたいと提案して会うことになる。
渋谷で葉山と会った石田はそこで様々な情報を得てこの世界の裏側を知る。
一つに今の世界は新人類という従来の人類とは異なる、超能力のような力を持った人達によって一部支配されていること。その支配は約三十年前から始まっていたとされる。
もしもあなたが新人類なら他の人には見えないものが見えたりするだろう、その特徴を聞いて石田はここまで時折みた不思議な光景を思い浮かべてまさかと思い当たる。
帰りに友人である広山賢一が失踪したという報を原圭吾から受けて探しに行こうとした時に、また見えないはずの所に居る人を見てしまいその場から逃げたのであった。そして広山もそんな所へ行ってしまった一人であったが石田が発見することに成功する。これが石田の持つ能力であった。
葉山とはもう会いたくないと連絡手段を絶った石田であったがそれを見越して別スタッフの玉川彩那を尾行させており、捕まってしまう。
玉川はあの日、慌てて逃げた石田を目にしており何を見たのか問い詰める。
さらにその石田が凝視した地点へ近づいた時に背後から男の声で「近づくな、あちら側に吸い込まれるぞ」と警告されて恐怖で立ち去ってしまう。
玉川もまた知人の代理で謎を追っていた。結局、葉山抜きで良いと判断した二人は共に謎を追う事にした。
男の声を突き止めるべく再び渋谷へ向かった石田は、その男である柏木英二と遭遇すると「お前は新人類ではない、なり損ないだ」と指摘されその柏木との数分間の接触で時間は十時間以上、過ぎていた。
新人類とは夢のような精神的空間を心地良いとする人種であった。石田はその様な性質は持っているものの完全には成り切っていなかった。
二種類いた人類。
石田は徐々に新人類が辿った歴史に触れていく。
その過程で原が実は新人類の拠点へと繋げてくれる仲介役であると分かると石田は新人類を装いその拠点へ向かう。そこは奇しくもあの少女を目撃した場所の近くであった。
そこで会った長谷川恵から新人類の暴走によりこの地球は瀕死状態であると聞かされる。
あの少女、今野由依は新人類の始祖であることも明かされてこの世界で新人類の能力が覚醒して反乱を起こした事により彼女も目覚めたのだ。
また今野は初めて出会った人類が祖父の長男で、石田も夢の中で会った事を覚えていたことにより今野は石田を特別視する。
やがて彼女は瀕死の世界を乗っ取ろうとするが、その世界の核も柏木に寄生して抵抗する。
互いの人類の中間にいる石田はその核に味方になれと迫られるが、それぞれの世界に適応している玉川や広山を見て両方を残せば良いのでは?と思い至り二つの世界を結合する離れ業をする。これはなり損ないだからこそ成せる事であった。
こうして従来の世界と新人類が生きやすい二つの世界が繋がることになり、どちらで生きるかを選択できる新世界が誕生した。
一仕事を終えた石田は二つの世界を結ぶ中間地点の主となる。
しかし今野は新人類の憎悪に応えて目覚めた存在であることから敵としていた世界の核を怒りを抑えきれず抹殺してしまう。
これで役目を終えた今野は石田に今後を託すことをほのめかす。
最後は両方の世界が一つになりそれぞれの要素を兼ね備えた真の理想郷を創るのはどうか?と今野が思いつき二人はその内、創造主同士いわば夫婦のような関係性になるだろうと匂わせた。
その心の準備として二人は一旦、別れる所で物語は幕を閉じる。