あらすじ
夜、入ろうとしたコンビニの自動ドアが開いた瞬間、おれは驚いた。
「ボタンを押してください? 押さないよ!」
一人の男がレジの前で店員に怒鳴り散らしていたのだ。店内には他に誰もおらず、店員は困惑した様子。おれはとりあえず棚の陰から様子を伺うことにした。
「ちょっと買い物するだけで、なんでいちいちボタンを押さなきゃならないんだ!」
「私の年齢は六十五歳だ!」
「大嫌いだ! ボタンも、この国も!」
「馬鹿なルールだよ!」
「なんで、みんなもっと頭を使わないんだ!」
「おかしいよ!」
「国が定めたルール? じゃあ、国から死ねって言われたら死ぬのか!?」
「ロボットかよ、お前たちは!」
……どうやらレジの確認ボタンを押すことを拒んでいるらしい。まったく、馬鹿なのはあんただ、と言いたくなる。たかが数秒で済むことに、何分かけるつもりなんだ。