あらすじ
天宮蒼真は十九歳の大学一年生。
本来なら青春を謳歌すべき年齢であったが、彼はリハビリを必要とする不自由な身体であった。
中学一年生の頃、居眠り運転のトラックから少女を助けたことが原因。身を挺して少女を救った蒼真はトラックに轢かれ、意識不明の重体となった。
手術により一命を取り留めた蒼真であったが、身体中に麻痺を残してしまう。
中学から高校の大半を車椅子で過ごしたものの、懸命なリハビリのおかげで、ゆっくりとだが歩けるようになっていた。
蒼真の両親は幼い頃に他界しており、育ててくれた祖父もまた大学入学という節目に天へと還っている。
家族を失った蒼真だが、まだ彼には寄り添ってくれる親友がいた。
親友の名前は郁哉。天宮家の隣人であり、蒼真の良き理解者。郁哉は自分の時間を削ってまで、後遺症に悩む蒼真を手助けしている。
祖父が他界して無気力になっていた蒼真を心配し、郁哉はプレイ中のゲームに蒼真を誘うことにした。
VRMMOアンタッチャブルワールド。脳波とリンクし思考だけで操作できるゲームであれば、後遺症が残る蒼真にも楽しめるだろうと。
アンタッチャブルワールドは蒼真にとって夢のような世界だった。
現実さながらの臨場感。何より自由に動く身体がとても懐かしく、それでいて新鮮に感じられたのだ。
郁哉に聞いていた話は冒険者となり魔物退治をするというもの。ところが、蒼真のジョブは農民であるらしい。
しかし、鍬を振ることや、鎌での収穫は充分に楽しめた。制限なく動く身体が嬉しくて、蒼真を夢中にさせたのだ。
勧めてくれた親友に感謝をし、蒼真はアンタッチャブルワールドの世界に没入していく。