あらすじ

美術部で問題を起こし、親にも進路を反対されている高校二年生の牛頭 大樹(ごず たいじゅ)は放課後の時間を公園でのスケッチで潰していた。 そんなある日、公園で絵を埋めようとしている同級生、町屋 サガリを目撃する。派手な見た目のサガリを避けようとする大樹だったが、彼が絵を埋めていることがどうしても気になって声を掛けてしまう。 どうして絵を埋めているのか、訊ねると、 サガリは好きな相手の似顔絵を埋めて「恋心を埋めている」のだという。 絵は彼の恋心なのだと。 「意味分かんない」 そう言ってのぞきこんだ似顔絵は、ど下手くそだった。 しかも、絵のモデルは男だった。 サガリは学校でも隠していないオープンゲイなのだという。そのうえ、一発屋の芸人を父親に持つらしい。 今は芸人を引退して焼肉屋をやっているらしい父親が、ウケ狙いで息子につけた名前が牛肉の高級部位『サガリ』。 名前からして滑ってる、と笑うサガリが、とっくにすたれた父親の一発ギャグをやっておどける。 「お前俺のこと知らないの? 俺って結構有名だと思ってたんだけどなあ」 そう言いながら、おどける。 自分から目立ちにいくことで、内面を見せないように振舞うようなサガリ。 惚れっぽくて、でも諦めるしかなくて、忘れるために下手な似顔絵を描いて埋めるサガリ。 技術が無い癖に、なにやら絵にロマンを抱いていて、でも本気で絵を描いたことは無い奴。そんなサガリは、大樹が一番嫌いなタイプの人間だったが、彼はサガリに絵を教えたくなる。 惚れっぽいサガリが、告白もせずに失恋してくるたび、大樹はサガリの描く失恋相手の似顔絵にダメだしをして描き直す。 そのうちに、大樹が、サガリの失恋相手の似顔絵を描くようになった。 そうして、サガリが失恋するたびに二人は一緒に似顔絵を埋めに行くようになっていたある日、サガリが言った。 「おまえ、自分の似顔絵も描けんの? 自画像ってやつ」

連載情報

ウェブ小説

配信言語
カクヨム
カクヨム2024/12/05
  • 現在の作品明日、僕らの恋心を埋めに行く。