あらすじ

「勇者よ。それでは旅立ちなさい。その与えられしチート能力で、異世界を救う冒険へと……!」 真っ白な空間で、桃色髪の美女がそう言って杖を振ると、俺は目を開けていられないほどの光に包まれて……そして、再び目を開けると、白い空間に美女が一人、立っていた。 「ふう、今日はこれでおーしまいっ! あー疲れたっ! 寝るよ! 抱き枕くん♡」 「誰が抱き枕だ! つーか出てけ!」 「そんなこと言わずにほら、身体は正直ですよぉ?」 「うわちからつよい!」  この桃色髪の美女は、女神だった。  そしてこの白い空間は……俺の寝室だ。ある日起きたら急にこうなっていた。ポスターもフィギュアもパソコンも消え去り、ただ俺とベッドだけがこの白い空間に残って、そして、白く透き通るローブ一枚羽織っただけの、この女神様がいた。 「おい、カップラーメンそろそろできるぞー」 「はーい。この人転生させたらすぐ行きまーす! それっ!」 「えちょなに今の――」  白い空間には普通にドアを開けて出入りも自由で、女神は何食わぬ顔で居候までし始める始末。タイミングが悪いと転生者とハチ合うので気まずい……。 「抱き枕くん、オスの臭いがプンプンしますね~♡」 「そんな恰好でこんなに密着されりゃね!」  背中から抱き着かれて、うなじを吸われて寝る時もあれば……。 「ほら! だっこ! だっこして! ぎゅーして!」 「はいはい。よしよし」  正面から抱き合って、頭を撫でてやる時もある……。  ……逆もある。 「さあ、寝るよ! 抱き枕くん!」  寝ることが何より好きな女神様は、今日も俺を抱き枕にして、幸せな眠りにつくそうです。

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