あらすじ
息子・青磁が死んでから三回目の夏がきた。「私が青磁を殺したのではないか」妄執にとらわれていた陶子のもとに一本の電話がかかかってくる。それは青磁の中学の同級生を名乗る女、アイカワハルカだった。「線香をあげさせてほしい」という申し出を受け入れたが、青磁の同級生にはアイカワハルカという名前はなかった。けれどもアイカワは陶子の前で、どこか青磁ににている所作で、青磁らしい話をする。真意を問うと、アイカワは目を伏せた。
「せいくんが、死んだのはあたしのせいかもしれないから」
/あたしは魔女にはなれない
《ぼく》は小学三年生のころ、クラスでメダカを飼っていた。仕事をしない生き物係にかわって、《ぼく》はそのメダカをかわいがっていたが、ある日二匹を残して死んでしまった。生き物係に引き取られることになったメダカを《ぼく》は同じくメダカをかわいがっていた《あの子》と水路に逃がすことにした。水路にメダカを逃がした翌日、大雨が降った。
__声なき声で、メダカはぼくに問う。なぜ? どうして? 十年ずっとこちらに疑問をなげている。どうして、こう死んで、死んだ後もこうしているの?
/水槽学
8月から10月まで書いていた短編二篇が入っています。
テーマは『不在と妄執』でした。
前半「あたしは魔女にはならない」は幻想文学風味、
後半「水槽学」は一人称青春小説風味です。
これをどうにかひねって長編にしたいなあというのが当面の目標です