あらすじ
この世界には、イジェス教という、全能神イジェスを讃える宗派がある。
8年前の国境戦争を境に、ガイラー帝国から布教が大きく進み、今や世界の4割が信者となっている。
ここまで布教が進んだ理由の一つに、古の魔術を扱い、魔術で平和へと導いたことがいえるだろう。
今や、教団の聖騎士団、“碧薔薇聖騎士団”は平和の象徴だ。
背に碧い薔薇を背負った彼らは国を跨ぎ、地方に赴き、魔物討伐、各国の平和のために日夜働いている──
今年16歳となり、憧れの騎士、通称・バラ騎士となったアキム。
彼は最高騎士である老騎士(オールドローズ)を目指しているが、出世街道に関わる初任務が、まさかの結婚式。
イジェス教では、国同士の結婚には司祭ではなく、騎士が務める。魔術を使って婚礼の儀を執り行うからだ。
結婚するのは、辺境伯ベナン卿のひとり息子・ディルクと、隣国のリティン国の次女・サナ。
出征街道から大外れの結婚式の初任務に、アキムはしぶしぶながらも3日後の婚儀に向けてディルクの別荘に赴いたが、その日に事件が起こる。
それは、密室殺人。
碧薔薇騎士団員は司法権も持つため、アキムは犯人探しも請負うハメに──
そんな折り、魔導造形師・ニクラスの弟子である美少女のミアが、ニクラスの代わりに披露宴の際に使用するメイド型魔導球体関節人形の整備を終えて運んできた。
その少女に向かってディルクは命じる。
「お前が持ってきた人形を使って、バラ騎士といっしょに犯人を探せ」
──3日後にあるディルクの婚儀までに、この殺人事件を解決しなければならない。
重ね重ね起こる殺人と、ミアの奇想天外な行動に翻弄されつつ、果たしてアキムは特別仕様の魔導人形たちと共に、犯人を探し当てることはできるのだろうか──