あらすじ
あるとき、環状線を舞台としたとある噂が人々の口々に伝えられた。
それは環状線の車両から反対側のホームを眺めていると、どの駅のホームにも同じ人物が立っている。
目撃者がそれに疑問を持ち、確信するとその人物は段々と車両の乗り込み口に近づいてくる。
そして目撃者は気がつく。
今はまだこちら側のドアが開く駅だが、もう数駅後には反対側のドアが開く。
そのとき、あの人物はこの車両に乗り込んできてしまうのではないか?
すぐさま席を立ち車両を降りてから振り返ると、反対側のホームにはあの人物の姿は影も形もなかった。
ホッと胸を撫で下ろすが、目を閉じると思い出してしまう。
段々と近づいてくるあの人物が浮かべる酷く心をざわつかせる笑顔を……。
噂話はすぐにバリエーションが増え、とある女子高生の間では先日自殺した女生徒が笑いかけてくると話題になっていた。
それを聞いた私は会社を辞め、環状線に毎日始発から終電まで乗り越している。
噂を確かめるために。
その噂が本物ならば、その女生徒は妹なのだから……。