あらすじ
pixivノベル大賞~2024Spring~イラストC部門
『TS娘は義体技師』の安藤梓視点のお話です。
【あらすじ】
五十年ほど前、小さな地方都市で「男子が女子化する」という現象が初めて確認された。当初は遺伝子異常やウイルスが疑われたものの、原因は分からずじまい。発熱をきっかけに、数万分の一の確率で男子が美少女「TS娘」に変わる奇病――「後天性女子化症候群」が注目を集める。特に、不可逆的に女子化したまま年齢を重ねる「後天性女子固定化症候群」は、社会に大きな影響を与えた。
その結果、男性の人口は激減。出生率も落ち込み、総人口は激減した。しかし、この混乱は科学技術の急成長をもたらす。医療用義体化やAI技術が発展し、全身を義体化する人々も現れ始めた。そして、ある疑問が浮かび上がる――すべて人工物に置き換えられた「人間」は、果たして人間と呼べるのか?
十五歳の女子高生、安藤梓は、全身義体化した体を持つ。実は彼女、三十年前に「女子固定化症候群」で女子化した元男子。事故で瀕死の重傷を負い、全身義体化で命を取り留めた過去を持つ。現在は「女子高生の姿」が気に入ってそのまま生活している。
放課後、友人の北澤百環と一緒にアキバタウンへ義体のパーツを交換しに行く。百環はスポーツ用に部分的に義体化した活発な少女で、二人はアキバのディープな裏路地を巡るうち、義体化技術の過去や現在ついて向き合うことになる。ところが、梓の秘密を知った百環は驚き、彼女に問いかける。
「なんで女子高生の姿でいるの?」
梓は軽く笑って答える――「だって、かわいいし、宣伝にもなるでしょ?」