あらすじ
「俺、なんか今、蹴っちゃったかも」
岩を彫られてできた祠を、友人が壊した。
その二日後、友人は原因不明の突然死でこの世を去った。
あの場にいた自分も。祠に触れた自分も、もしかしたら。
ただの伝承、都市伝説、昔話の類である存在『鬼』。
祠から放たれた四の鬼は、嗤いながら自由に散って、好き放題に人を屠り、そして、
人に感染るものだった。
鬼に感染した人に、自覚症状はない。
なぜかわからないけれど、怒りっぽくなったり。感情が制御しきれず、怒鳴り散らしたり。
ものを壊したり。それがエスカレートしたり。
最後には、壊すことが快感になっていって。
内部からじわじわと。
人間である部分をすべて食いつくされたら、鬼となる。
記憶も、知識も、外観もそのままに、鬼にとなる。
欲望のままに暴れ食らう様は、人間ではないモノになった証。
二度と戻らない、戻れない。死すれば肉体は黒い泥になり、遺体も残らない。
そして、鬼は感染する。
病原菌のごとく、鬼から人へ。人から人へ。
祠から放たれた四の鬼、感染の根源を討てば、感染は消滅する。
偉大なる先達から鬼退治の武器を継承し、誰も気づかないパンデミックに立ち向かうのは。
十九歳の普通の大学生だった。
彼が、祠を壊した友人の隣にいたから。
己の命、責任、罪悪、そして使命感。
普通の日々を捨て去り、綿枝巧貢は鬼を討つと決意する。
先輩であり相棒でもある、俳優かつ特殊能力者の介音綺人。
古き家の末裔である少女、巫女服を纏う加賀峰芽依。
綺人の芸能マネージャー、驚く謎を秘めたもの望月新司。
それは今世の鬼退治。
勝つのは人か、あるいは鬼か。
感染が進む前に。すべてが手遅れになる前に。
『鬼が島』が、日本列島を示す言葉になる前に。
ただの大学生は、鬼を討つ。
略称 「ただ鬼」です。
どうぞよろしくお願いいたします!