あらすじ
あいつは金石の海辺で、しっかりと私のスカートの中を覗き見していた!
(なんて奴、有り得ない!)
そして金石の町からの帰りのバスの中、転寝する私の唇に何かが触れて行き、隣のシートにはあいつがいた!
(まさか……、あいつぅ……)
弓道場で弓を構えて黄色い声援を送られている矢を放つ寸前のあいつが、静の中に動が揺らめく彫像のように見えて、思わず私は中るようにと祈ってしまう。
あいつの事が好きかどうか分からない、ただ、私から積極的になりたくなかった。
通学途中のバス事故で、あいつは傷を負いながらも私を守ってくれた。
(あいつに守られて、私は無傷だ……)
なのに、事故の報道で氏名や映像が曝されたくない私は、治療を受ける前の彼を救急病院から連れ出して帰宅させてしまったが、私の中であいつは彼になった。
県大会で個人優勝してインターハイへ出場したヒーローの彼に優しくしたいと思う私は、奥能登の遠浅の浜で悪ふざけから真逆の彼を殺すところだった。
(高校の3年間で互いに接近しているのに、我が儘で欲張りな私は彼を受け入れずにいる……)
受験に合格した私は、高校卒業後に県外の大学へ進学する。
県外で不安な一人暮らしをする寂しい私は、少しずつ深く沁み込んで来ている彼の優しさと誠実さで、もっと素直になれて今以上に私は、彼と親密になりたいと思うのだろうか?
思春期から青春期への『桜の匂い 第2章〝想いのままに〟(高校1年生~高校3年生)女子編』、少女は自分と少年に男と女を意識して行く。