あらすじ
平安から鎌倉へ移ろう時の中をわたくしは生きて参りました。
顔の右半分に醜い痣があり、家の仕事を手伝いもしなかったわたくしは、9つの時に、口減らしのために父に捨てられました。捨てられた山を登って行くと、山伏に会い、そのさらに上に行けば鞍馬寺があることを知らされました。そこでわたくしはそのお方──後に源義経となられる12歳の牛若丸さまに出会ったのでございます。
牛若さまはわたくしに教えてくださいました。美しく居心地のいい、天国のような場所はあるのだということを。女人禁制のお寺をわたくしはすぐに追い出されるように、牛若さまにおぶられて下界へ戻りましたが、そこに立ったのはそれまでのわたくしではありませんでした。牛若さまに勇気と自信をいただいたわたくしは、拳を握りしめ、世知辛い世の中を歩きはじめたのでございます。