あらすじ
サフィラ=ウォルプタースは、諸島国家テストゥードーの古生物学者。没落貴族の彼は六歳下の弟を養いながら、日々研究に励んでいる。その夢は、ウォルプタース家に伝わるシーサーペントの古い伝承が真実だと解き明かすこと。伝承によれば、この島々は英雄に倒されたシーサーペントの死骸でできているのだとか。
だけど、誰も「荒唐無稽な話だ」と言って信じてはくれない。
そのサフィラは、幼馴染である騎士のクラヴィスに思いを寄せられていた。クラヴィスはサフィラに「サフィラの言うことは全部信じる」と甘く囁き、好きだ、と迫るのだ。
自分自身も彼を憎からず思いながらも、僕なんかのために人生を棒に振ってほしくない、と振り続けるサフィラ。そんな日々の中、島に異変が訪れる。それは伝承にある、シーサーペント復活の予兆だった。
サフィラは危機を訴えるものの、「荒唐無稽な話だ」と退けられてしまう。
サフィラはひとりでシーサーペントを止めるために海に出ようとしたけれど、クラヴィスも同行してきて……。
「シーサーペントを倒したら島ができるんだろう。その島を俺たちの新婚の家にしよう」
「何を言ってるんだ君は」
旅の仲間に冒険者の大男・アウクシリアを加えて、サフィラ、クラヴィスの冒険は続く。
以下、あらすじ
群島から成る最果ての国、テストゥードー共和国。
考古学者のサフィラは、かつて最古の家門として知られていたウォルプタース家の出身である。彼は名門の出身の出でありながらも、自身の家の所有する島を手放さざるを得なかった経験や、両親の死によって、無力感を抱えながら生きていた。サフィラを思う幼馴染のクラヴィス=ミュートロギアのことを憎からず思いながらも、彼の立派な経歴と自分自身を比較しては、落ち込んでいる。
クラヴィスは、かつて幼く、弱かった頃の自分を導いてくれたサフィラに恋をしている。彼が騎士となって活躍しているのは、幼い日のサフィラに勇気を与えられたためである。
そんな日々の最中、サフィラは世界の危機を察知する。様々な証拠をもとにウォルプタース家に代々伝わる「創世の蛇」の伝承が真実であると確信した彼は、またその襲来が近いことをも予知した。サフィラは国家へ警告するが、もともと異端扱いされていたこともあり、不吉なデマを喧伝した罪で白眼視されるようになってしまった。
ひとり創世の蛇を止めようと大海に漕ぎ出すサフィラに、クラヴィスも同行する。またクラヴィスの同僚が紹介した冒険家のアウクシリアの手助けも借りて、彼らは世界の滅亡を止める旅に出た。
旅の中で、三人は神話の全容を追った。島々に残された遺構や遺物を探す中で、二人はシーサーペントに大きな効力を発揮する海流を操る魔法や、伝説上の武器を得た。またその冒険を通じて、クラヴィスとサフィラの距離は近づいていく。二人の気持ちは高まっていき、やがてそれを抑えきれないほどにまで育っていった。
その一方で、真実が明らかになるにつれ、サフィラがシーサーペントへの生贄にならなければいけないこともまた判明する。しかしそれは英雄を導くとされる泳ぐ太陽、海亀のテストゥードーによるたくらみでもあった。彼は母にして妻であるシーサーペントへの慰めとして、サフィラを捧げようとしているのだ。
一旦は運命を受け入れ、諦めかけたサフィラだが、この旅を通じて絆が深まったクラヴィスをはじめとした大切な人々のことを思い、奮起する。
サフィラとクラヴィスはその運命に抗うため、叡智と武勇を合わせて立ち向かう。その姿を見て、裏切り者とされる蛇と海亀の息子、ウィータも力を貸す。彼は二人にシーサーペントの弱点を教え、テストゥードーを強制的に天へと戻すためのヒントを与えた。
シーサーペントは新月の夜が開ける頃に復活するものの、ウィータの知恵を借りたサフィラとクラヴィスによって倒された。テストゥードーのたくらみもまた、二人の手によって砕かれ、彼は天へと戻っていった。とうとう神々の絶対的な力は人によって破られ、新たに生まれ変わった朝日とともに、サフィラとクラヴィスは新たな時代を開いた。
冒険を通じて自己効力感を取り戻したサフィラはクラヴィスの求愛に応え、二人は新たにできた島で末長く幸せに暮らした。