あらすじ

あの日出会った彼女に、俺は一目惚れした。 二人で手を繋いで夏を駆け抜けた。俺の世界はきらきらと輝いていた。 ともに笑ってはしゃいで、バカやって、怒られて。でも、何もかもが楽しかった。 だが――そんな時間も終わりを告げる。 突然、彼女はどこか遠い街に引っ越してしまった。わずか三ヶ月だけの「ともだち」だった。 彼女は、俺の人生から姿を消した。もう二度と会えはしない。 ――と思っていたのだが。 「はじめまして、夕凪秋斗くん」 「……水瀬桜花、って、『さくら』か?」 「はい? 誰でしょうそれは?」 「三ヶ月だけ、俺の隣の家にいただろ?」 「すみません、ちょっと……私にはわかりません。どなたのことでしょうか」 「だから、昔一緒に遊び回った『さくら』だよ! スイカの種を飲み込んで『草が生えちゃうよ……!』って泣き出したり、肝試しに行こうとか言い出したくせに自分の影にビビって一人で逃げ出したり、プールなのに浮き輪がないと泳げなかったり……あぁ、あと海に飛び込んだら飛び込んだで足つかなくなって、俺にしがみついて大声で助けを呼んだり、それに――」 「ちょっとあきとそれ以上は言わないでほんとうにやめておねがい――――っっっ!!! わかった、わかったからもう黙って! わたしは『さくら』ですっ!」 隣の席にいたのは、何年も前に一目惚れしたけど引っ越して会えなくなった、あの少女だった。 にしても、雰囲気が違いすぎる。きっちりと着用されたリボン、着崩しのないシャツ、規定通りのスカート。真っ直ぐな黒艶の髪、大きな蒼碧の瞳。 ――どこからどう見ても「清楚」だった。あのときの『さくら』の欠片もない! と思ってたんだけどね。意外と性格ってやつは変えられないようで、『さくら』の抜けてるところとか馬鹿なところが滲んでいる。本人は「清楚」を貫き通すつもりらしいけど。 よし、ここは一つ、昔のお転婆な所業をバラして「清楚」キャラの彼女を慌てさせてみよう。 つまりこれは、俺のそんな悪戯心から始まる、「清楚」な少女が「お転婆」を隠し続けようと奮闘する物語ってことだ。

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カクヨム
カクヨム2024/08/25
  • 現在の作品ずっと昔に一目惚れした清楚美少女が、隣の席に座って『清楚』の定義を粉々に打ち砕いてくるんだが