あらすじ
「うおっ!」
「きゃあ!」
「マジか……」
「だ、誰かなんとかしたまえ!」
「怖い……」
始業時刻、オフィス内に飛び交う声に彼は眉を顰めた。
同僚たちが騒いでいる理由はただ一つ。それは、彼に近づいた一人の先輩の口から語られた。
「お、おい……あそこに、幽霊がいるぞ……」
「あ、そうですか」
「いや、リアクションうすっ!」
オフィスの隅。同僚たちが一点に見つめるそれは紛れもなく幽霊であった。おそらくは髪の長い女であり、全身が溶けているように醜く、見た者の不快感を煽るものだった。
「お前さぁ、もっと他に反応はないわけ? 怖いだろ?」
「別に……。ゴキブリが出たみたいな感じでしょう」