あらすじ

前世とそのまた前世――魔女として処刑された五〇年前と、侯爵家の女主人として生きた一五〇年前の記憶を持って生まれたエルメリア・ロッシュは、リブラント侯爵家が子息ユスツィート・ケリーとの婚約の解消を望んでいた。  前世の罪を忘れられない。前々世の恋を忘れられない。  〝過去〟の苦い経験を引きずっている彼女にとって、彼が自分ではない誰かと恋に落ちることは決定事項だったのだ。  しかし当のユスツィートにその気がないこと――運命とも呼ぶべき出会いを果たし、恋をしたとしても、それをなかったことにするつもりでいることを彼女は知らない。  婚約を解消するための唯一絶対の条件。  それは、エルメリアが自身の幸福のために望むこと。  自責の念に囚われるあまり不幸こそを求める彼女を彼は認めない。  どうあっても幸せになりたくないというのであれば一生を掛けてでも確実に、必ず幸せにしてみせる。  婚約者として紹介されたその日。その場で。  拒絶された彼が抱く感情は愛と定義付けられながら復讐心にも近く。  ただ、エルメリアに惚れ込んでいることだけは間違いがなかった。  一五〇年前から抱き続けてきた恋心に終止符を打つと同時。  記憶を有したまま生まれ変わった原因を知り、自らもまたユスツィートを愛していることを自覚せざるを得なくなったエルメリアは契約している精霊から、そんな婚約解消の条件を聞かされ考えを改めることになる。  ユスツィートには幸せになってもらいたい。  そのために必要なこととは。  非正式だった婚約を正式なものへと変えることを受け入れた彼女は悩みながらも決意する。  もしもこの選択が過ちに変わるならその時は。  彼を傷付け、不幸に落とすことを“最後の罪”としよう。  魅了の魔法を受けてなおユスツィートの愛は揺らがない。  ならばもう求められていることを認める以外にない。  侯爵家に生まれた令嬢らしい傲慢さと素直さを亡国の教会で培った純朴さで覆い、忌むべき名を持って生まれた少女という殻の中に押し込めていた彼女は愛する者の願いを叶えるため、自らの幸福に手を伸ばす。  これはそういう話だ。 ※他投稿サイトでも掲載中

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カクヨム
カクヨム2024/08/23
  • 現在の作品恋に生きた君は知る