あらすじ
遥か西に位置する欧州の国ギリシア。
今から三二〇〇年前。その地に強大な勢力を築き上げていたミュケナーイ王国の姫イピゲネイアは、ある日いきなり父に呼び出される。
「お前と結婚したいという男が現れた」
そう言って父はイピゲネイアに結婚式場に今すぐ来るよう促した。予期せぬ出来事に、イピゲネイアはさぞ驚き……はしなかった。
なぜなら、そのお相手がとびきりのイケメンだと伝えられたから!
馬に鞭打ち、大急ぎで結婚式場へと向かうイピゲネイア。式場へと辿り着くと、そこには父の言葉に違わぬ好青年が!
この男性と生涯の愛を誓い合い、後は死が二人を分かつまで幸せな生活を送れる。
イピゲネイアがそう確信していた、その時。
「娘よ、悪いが後は私の指示に従ってくれ」
という父の声が。そして、訳も分からず祭壇に乗せられるイピゲネイア。
そんな娘に父は残酷な一言を言い放つ。
「女神の生贄となってくれ」
抵抗する術を奪われたイピゲネイアに振り下ろされる刃物。それが彼女の首を絶つかと思われた、その瞬間。
(あれ、浮いてる?)
不思議な感覚が包まれたかと思えば、次の瞬間には見知らぬ場所に落ちたイピゲネイア。困惑するばかりの彼女に近づく一人の男。
男は間延びした声で王女に尋ねる。
「お嬢さん、どこから来たのかのお?」
初めこそ戸惑うばかりのイピゲネイアは、自分が降り立った国が故郷のギリシアとは違う風習、信仰、対外関係を有する国であることを知っていく。
その過程で深まる異性との関係。彼らとの関りで知らされる男心。着実に深まる男女の関係は、いつしか大きな困難を多くの人々にもたらすこととなる。
そう、かつては偉大だった東洋の国「八島国」の男たちを惑わせた魅惑の乙女『かぐや姫』のように……。
ギリシア神話に登場する王女イピゲネイアが、とある理由で日本に似た島国に転移させられ、現地の人々との交流し、馴染みながら、迫りくる脅威に立ち向かう物語となります。
なんちゃって平安時代を許容できる方は是非一読ください。
また、登場人物の会話についてはなるべく固くなり過ぎないように配慮しているので、読むのに躓かないような作りになっています!