あらすじ
小説家の睦子は一人娘である紗代子を連れて、多摩市にある団地に引っ越してくる。
子どもたちの笑顔が響く団地で新生活を始める睦子は仕事の調子も上向きとなり、ようやく幸せな生活を手にしたと安堵するが、身の回りで奇妙な出来事が相次ぐ。
娘にしか見えない子ども。元住民の不審な死。敷地内で行われる奇怪な儀式。
やがて睦子は団地の恐ろしい秘密に巻き込まれる。
一方、未解決事件を専門に扱う部署――警視庁特命捜査対策室第五係に所属する刑事、矢上は『松濤事件』の情報提供者と接触する。
『松濤事件』とは、十四年前、渋谷区の高級住宅街・松濤に住んでいた資産家の家族四人が殺害された未解決事件。
その現場となった邸宅には被害者一家とは別に、もうひとり子どもがいたというのだ。
子どもは何者か。被害者たちは何を隠し、なぜ殺されたのか。
矢上が疑問を抱く一方、第五係を率いる係長、真鶴警部も動き出す。
卓越した捜査能力を持つ彼女には「この世ならざるものの気配」を感じ取れるという噂があった。
真鶴警部の指揮のもと、矢上たちは『松濤事件』の再捜査に乗り出す。
別々に進行する二つの出来事。
やがて両者は一つの真実に収束し、恐ろしい檻の姿を浮かび上がらせる。