あらすじ

「何もできないΩどころか、ろくな嫁ぎ先も選べる魅力もない、Ωとしてもできそこないの無能め」

これは実の父に何度も言われてきた。母は僕が生まれてすぐ亡くなったため、子爵家の当主である父に逆らえる人はいないし、第二性別として才能溢れる所謂上位層のα(アルファ)と違い、発情期で周りを困らせるばかりか、中間層とも言われる所謂一般人のβ(ベータ)にも及ばない才能なしとして差別対象になりやすいΩ。

これが女の子だったなら寧ろ妊娠のしやすい理想の嫁として、後継ぎを望む貴族に歓迎されるだろう。でも男である僕はただαやβの女性と変わらない確率で、違いと言えば男でありながら妊娠できると言うだけでメリットはない。

とはいえ、僕に関しては女の子であってもだめだったかもしれない。何故なら僕の発情期は、僕自身ただ体が多少熱っぽくなるだけなのに、第二性別関係なく周りをフェロモンで狂わせるという普通ではないΩなのだから。そのおかげで周りとの関わりを遮断させるきっかけとなり、社交界からは逃げられ、老いを早めるデメリットのある抑制剤入らずで、長生きができそうではあるけれど。

まあ僕は結局のところ抑制剤の効かない体質らしいから、迷惑にしかならない無能Ωとしてより人との関わりを断たれて、父に暴言暴力を振るわれる毎日。もはや何のために生きてるのかすらわからない。

元々僕の父はろくでなしな人だ。気に入らないことがあれば、僕じゃなくても自分が目下と判断した人に限り、誰彼関係なく辛く当たるのだから。そんな親を持ち、自分に自信もないせいか、いつしか僕はこんな父ではない理想の父を思い描くことで日々の辛さを誤魔化していた。

そんな日に終わりを告げたのは僕が結婚可能な年になった16歳のこと。

「できそこないのお前にお似合いな、できそこないαとの婚約が決まったぞ。地位や権力だけはあるからな、初めてお前が役に立ちそうだ」

この日僕はようやくこの家を出ることができた。そして出会う。幼い頃から憧れた理想の父に。

それはぽっちゃりで目元に隈を作り疲れ切った顔をしたαで公爵家の僕の婚約者になった人。その人に第一印象とかそういうのではない心からこの人だと思う安心感のようなものを感じた僕は、ずっと夢見た存在が目の前にいると感激し、勢いよく放った最初の言葉は

「僕のパパになってください!」

その一言だった。








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アルファポリス
アルファポリス2024/10/12
  • 現在の作品無能Ωと言われた僕が理想の父を求めすぎて10歳離れたαの婚約者にパパ代わりになってもらった結果に待っていたのは溺愛過保護でした