あらすじ
斎藤修二はどこにでもいるサラリーマンだ。
大学の経済学部を出た後にはそのまま故郷の比較的優良企業に勤め、もう三十も近くになるが女性との出会いもなく、日々変わらない業務をこなす日々、、、。
そんな彼は趣味でやっている畑を会社の帰りに見に行くとそこには黒く丸いシルエットがあった。
暗くてよく見えないが結構大きいように見える、それにシルエットしか見えていないはずだが生物的な”気配”といったものを感じる、そんな”何か”がそこには存在していたのだ。
「ん?」
もう使って長くなるだろうスマホを取り出し、ライトをその物体に向けた。
すると春の夜に全くふさわしくない強烈な寒気が全身を通り過ぎていき、鳥肌が立ち毛が逆立った腕をスーツの袖の部分を無意識のうちに強く握る。
その”卵のようなもの”にライトを当てているスマホがまるで変ってしまったように重く、手になじまない。
どれほどの時間固まっていたのだろうかわからない、呼吸さえしていなかったのかもしれない、少しばかりの息苦しささえ覚えるほどだ。
まさにその物体は”未知”だった。
すりガラスのような丸い殻?(膜なのか殻なのか判断がつかない)のようなものの奥、中心部分には白い塊があってその周りには血管のように白い糸が無数に張り巡らされていた。
その白い血管がまるで血液を送るかのように脈を打っていなかったなら無機なものだと思えるほどの非現実的な”何か”だった。
この何かを見つけたことが俺の何かを致命的に変えてしまったことは今となっては疑いようのないことなのだ。
俺がどこをどう思ったのかこれを家に持ち帰ってしまったことも、それを誰にも言うまいとしたことも、これを見つけたときに決まっていたに違いないのである、、、、。