あらすじ
平行宇宙の隙間で、意識ある無人情報戦闘実験艦と記憶を失った猫型ロボが出会った事から物語は始まる。
「量子論的に予知は操作である」という理論を主軸にして、全ての時間・空間・物語宇宙を平行宇宙の一つとみなして移動する、超能力者のクローン脳を持った情報戦闘実験艦〈メデューサ〉と、超能力者の特殊刑事のバディであった猫型AIロボットには共通するオリジナルがあった。
二人は時空を移動し、自分達のオリジナルである超能力者の中学生の少女〈田村虹美〉を救いに二〇〇四年の日本の学校を訪れる。そこで虹美とメデューサは〈合体〉して〈渦眼〉の力を振るい、触手センサー群で相手の情報ポテンシャルを食らう〈邪視攻撃〉で、〈虹眼〉を使う謎の吸血鬼を撃退した。
〈アリス〉と名乗った猫型ロボは、二〇四四年に虹美は特殊才能がある犯罪者がなる特殊刑事になり、宇宙の極大エントロピー状態を信仰する反社会的宗教組織〈ホラーカルト〉捜査中に、その宗教の思想に多大な影響を与えながら囚われの身となった作家〈塩原猛志〉を発見したと皆に語った。そこでホラーカルトに寝返っていた元・特殊刑事の怪物に襲われた虹美と塩原は発狂死したが、その虹美の意識がバディの猫型ロボに転移し、渦眼の力でその時空から脱出したという。そして、猫型ロボ=アリスと、自分が発狂したと思って「宇宙の全体像を探査・想像して語る」三姉妹の情報戦闘実験艦のリンク計画から逃げてきたメデューサが平行宇宙の隙間で出会ったのだ。
虹美、メデューサ、アリスはホラーカルトの首謀者的存在である〈全知全能機関〉を倒さなければ、極大エントロピーが速やかに訪れて、近い内に宇宙が滅亡すると結論し、一九九八年の塩原猛志に会いに行く。売れない作家である若い塩原にとって、自分を訪れた三人は現在構想中の小説の登場人物で、彼女達の状況も小説の中の設定その物だった。自我を得て発狂した、警視庁の対犯罪巨大コンピュータ・ネットワークの母体〈ブラックマザー〉こそ全知全能機関の主神だと確信した四人は、全知全能機関が一般人集団を変異させての襲撃を邪視攻撃で退け、AD二一九九(宇宙暦九九年)の情報戦闘実験艦〈ゴーゴン〉三隻による宇宙探査計画〈魔女の鍋〉実施の瞬間へと時空移動する。
国連宇宙軍・第十三艦隊の監視する中で始まった魔女の鍋計画は、メデューサの離脱とそれに干渉して姉妹艦を洗脳していた全知全能機関の介入によって暴走し、ゴーゴン艦による超光速呪術攻撃で第十三艦隊が壊滅する。その直後に到着したメデューサ達は、相手に対抗する為に自身の情報構造体としての意味をタロットカードのアルカナで強化する〈ヒロイック・テクスチャ〉という策を考え出し、相手が潜んでいる宇宙の〈穴〉に突入する。穴では全知全能機関が宇宙の破滅を加速していた。虹美とアリスは穴の中で元・特殊刑事の怪物の襲撃で窮地に陥る。しかし、全知全能機関の確率操作に対抗するデモンストレーションの為のロシアン・ルーレットで相手の認識を打倒した塩原とメデューサが、虹眼と渦眼の両方を身につけた虹美の召喚に応えて、怪物を滅ぼす。
ダメージを負った全知全能機関を追って、地球の警視庁地下に時空移動したメデューサは、邪視攻撃でブラックマザーと対決し、それを打ち滅ぼす事に成功した。
全てが終わり、メデューサは姉妹艦のもとに帰って魔女の鍋計画を続行するとし、塩原とアリスはそれへの同行を選んだ。虹美は新しく〈日常〉を創造し、そこへ帰っていったのだった。