あらすじ
現実に価値を見出せず、アニメや漫画、ゲームにしか興味のない中学3年生。黒田 透(くろだ とおる)。
彼は、自分も含めた現実の人間を、モブとしか見ておらず、世の中の全てに諦めていた。
ある時、提出プリントの催促に来たクラス委員長が、やけに怒気をはらんでいる事に気づく。
関わらないように無言でプリントを出すと、彼女は黒田の両頬を掴み、無理矢理に目を合わせてこう言った。
「黒田君ってさ、何でそんなに、やる気ないの?」
彼女の真面目さを表す容姿が、頬に伝わる肌の温度と感触が、黒田の脳に焼き付けられた。
そして、クラス委員長という肩書に似合わぬ、ほんのり色づいた赤い唇。
肩書と言動、些細な違和感。
すると、彼女の後ろで冷やかすように口笛が鳴った。
クスクスと響くクラスの笑い声。
頬に残る彼女の感触。モブが個性を持ってしまった。