あらすじ
「お前は素直に金を出せば良いのだ! クソッ。本当に愛想もない、可愛げのない女だ。それに比べてラビニュは………………」
はーっ、恐喝、暴言、浮気発言。
いきなり訪問して来て、何を喚いているのだろう?
私(わたくし)はいつもの命令通りに応接室にて、侯爵令嬢インフェルの婚約者である、第二王子カヴァルートの対応をしています。
この王子、金髪碧眼の副騎士団長、ガタイも良く王妃に似て儚げな顔(かんばせ)をしているから、性格を知らない人には大人気らしい。
「申し訳ありません。私の一存では決めかねます。
父に相談してみます」
「駄目だ。内密にしろと言っているのだ」
「………………、少々お待ちください」
「全く。お前の家は金だけはあるのだ。お前に当てられている支給金(お小遣い)があるだろうが。それを寄越せば良いだけなのだ。時間が勿体ないじゃないか、早くしろ!」
そもそも、侯爵令嬢の支給金(お小遣い)はインフェルの物だ。
馬鹿王子のものではない。
けれど私は、言い返すこともなく席を立った。
長い廊下を通り、インフェルの部屋に辿り着く。
「コンコンッ」
「はい、どうぞ」
そこにいるのは、侯爵令嬢インフェル・アルガーゾン。
私の主人(マスター)である。
「いつもごめんね、あんな罵倒を受けさせて」
「いいえ、何ともありません。私に感情はありませんから」
「もう、そんなこと言わないでよ、|β《ベータ》。貴方が学習を積んで、感情領域も発達しているのを知っているんだから。本当にごめんね。この編集終われば、代わりなんてさせないから!」
私は侯爵令嬢の姿に扮していますが、実はアンドロイドなのです。
《個別識別番号は、アンドロ|β《ベータ》113で御座います。一応男性型なのですが》
カヴァルート第二王子が言われていた通り、アルガーゾン侯爵家の資産は王国を軽く凌ぐ勢いで、益々増益を続けています。その大まかなものは、ロボットや精密機械・ロケットなどを担う産業を持つからです。
魔法がない世界なので、科学が進歩しています。
はっきり言ってアルガーゾン侯爵家が、カヴァルート第二王子なんて不良債権を引き取る義理はありません。単なる王命で押し付けられた契約なのです。
それを阻止する為に、私(インフェル)は立ち向かうのだった。