あらすじ
忍便--その名の通り便意を耐え忍ぶ競技--はその年の豊作を祈る神聖な儀式として、毎年欠かさず行われる。
便意を耐え忍ぶという、人として生を受けたのならば一度は経験した事のあるであろう状況。
競技としての忍便は、食物を鱈腹食べて起きた健全且つ猛烈な便意を神様の前で耐え忍ぶ事を求められる。
豊作への祈り、艱難辛苦を乗り越えるという姿勢。そうした意義の元で紀元前より忍便が行われてきた事は、日本人であるのならばDNAに刻み込まれている程の常識である。
また、忍便をする競技者は毎年の春を迎える時期に、そのような苦難を耐え忍ぶ事により矜持を伴うような位の高い人間の中から無作為に選出される。
そして私の父はその競技に参加する事となり、公衆の面前で早々に脱糞して憤死した。
失敗した父は国恥として、弔われる事もなく。私は親族を含めて、名前を変え、隠れて生きる事を強要されたのだった。