あらすじ
好きな男の子がいた。
彼……笠木くんは頭はあまり良くなくて、顔立ちも平凡で、パッとしない。ただ明らかに浮いている私を受け入れて優しくしてくれた、私にとっては特別な存在だった。
何度も「好きです」と冗談めかして言っていた。笠木くんが応えてくれることはなかったけれど、それでも良かった。
だって恋している時間は楽しかったから。
でも私は、恋する乙女ではいられない。そういう立場だ。
だからある日、学校からの帰りに降り出した雨に託けて、私は彼を誘う。
まるで、何でもないかのような顔をしながら。
「私、傘を持ってきていなくて。もし良かったら、貴方の傘に入れてくれませんか?」
※エツハシフラク様主催の『匿名現代切恋企画』に参加した作品です。
※エブリスタに重複投稿しています。