あらすじ
中学二年生の稟は母の再婚により、同い年で誕生日も同じ弟・律ができる。
両親の再婚と転勤を機に東京に引っ越して転校した稟と律。家庭の事情を吹聴するのは面倒だからという理由で、自分たちは二卵性双生児だと言うことを稟は律に提案する。
双子という設定を周囲に疑われないようにするため、姉弟で一緒に登下校したり家で過ごしているうちにふたりは打ち解けて会話ができるようになる。特に、料理が得意な律は田牧家の料理のほぼすべてを担当し、稟の胃袋を掴むことでますます親しくなっていく。
一方、中学校では積極的にクラスメイトたちと交流して新しい学校生活にすぐ馴染んだ稟と、人付き合いに消極的でなかなか友人ができない律。
実は律は前の中学校では不登校気味だった。
稟と一緒に過ごすうちに、律は稟と一緒に高校や大学に進学したいと考えるようになる。
※ネタバレ注意
「キャラクター設定」
田牧稟(たまき りん):六月九日生まれ。母親の再婚で父と同い年の弟ができた。城西中学校二年三組。現在進路に悩んでいる。活発な性格だが、現在は帰宅部。母親が五年間単身赴任をしていたため、その間は祖母とふたりで暮らしていた。母の再婚を機に母と一緒に暮らすようになるが、母娘関係はあまり良くない。
田牧律(たまき りつ):六月九日生まれ。父親の再婚で母と同い年の姉ができた。稟の方が半日ほど早く生まれたという理由で『姉』を名乗っていることが少し気に入らない。どちらかといえばおとなしい性格で、常に自宅マンションで料理をしている。帰宅部。城西中学校二年二組。前の学校では不登校気味だった。
相原美結(あいはら みゆ):三月三日生まれ。城西中学校二年三組。稟は親友だと思っている。ロングヘアをいつもツインテールにしている。合唱部所属。
福永聖(ふくなが しょう):十二月二十四日生まれ。城西中学校三年一組。律の実兄だが、律が弟であることは気づいていない。聖と律の母親が離婚後に再婚したため、現在は義父の福永姓を名乗っている。サッカー部所属。
田牧紗奈(たまき さな):40歳。稟の母。旧姓・島崎。大手商社で働いている。稟が1歳のときに、仕事復帰をしようとしたところ夫に反対されて大喧嘩となり、協議離婚した。その後、一人暮らしをしていた実母の家に引っ越し、稟の子育てはほぼ実母に任せっきりだった。単身赴任先のシンガポールで出会った田牧毅と意気投合して再婚する。現在は東京本社勤務。
田牧毅(たまき つよし):42歳。律の父。大学の助教。専門は機械工学。シンガポールで開催された学会に出席した際に、紗奈と知り合い、意気投合して結婚した。前妻と、前妻が引き取った息子が現在どこで何をしているのかはまったく知らない。
「長編化した際のプロット」
中学二年生の稟は母の再婚により、同い年で誕生日と血液型も同じ弟・律ができた。
両親の再婚と転勤を機に千葉から東京へ引っ越して転校した稟は、親の離婚や再婚はそう珍しいことではないものの、家庭の事情をあれこれと吹聴するのは面倒だからという理由で、自分たちは二卵性双生児だと言うことにしようと律に提案する。
双子という設定を周囲に疑われないようにするため、姉弟で一緒に登下校したり家で過ごしているうちにふたりは打ち解けて会話ができるようになる。特に、料理が得意な律は田牧家の料理のほぼすべてを担当し、稟の胃袋を掴むことでますます親しくなっていく。
一方、中学校では積極的にクラスメイトたちと交流して新しい学校生活にすぐ馴染んだ稟と、人付き合いに消極的でなかなか友人ができない律。
実は律は前の中学校では不登校気味だったが、稟と一緒に新しい中学校生活を送るうちに毎日なんとか学校に通えるようになり、稟と一緒の高校や大学へ進学したいと考えるようになる。
ふたりの中学校生活はそれなりに順調に進むように思えたが、稟が「サッカー部に格好いい先輩がいる」と言い出したことから、稟と律の間にぎくしゃくした空気が流れるようになる。
稟は常に律に対して「お姉ちゃん」という態度を取ろうとするが、律は自分が弟扱いされることを次第に嫌がるようになっていた。
しかも、律は「サッカー部の格好いい先輩」こと福永聖がどうやら自分の実兄らしいということを知る。両親が同じなのに、兄と自分ではあまりにも性格が違いすぎることに律は落ち込む。
料理が好きで、高校は食品系の学科がある学校に進みたいと考えていた律だが、次第に料理にも身が入らなくなる。
一方の稟は、自分はどんな高校に進んでどんな大学に進めばいいのかわからず、将来がまったく見えていなかった。将来のことを考えているのに、母親からは「ごろごろしていないで勉強しなさい」と毎日のように小言を言われるので面白くない。これまでは別々に暮らしていた母親と、どのように付き合っていくべきかも悩みのひとつだった。
料理が好きで料理人か管理栄養士の道に進みたいと言う律はしっかりと進路を決めているように稟には見えて、次第に稟は律に苛つくようになる。
しかも、なにげなく「サッカー部に格好いい先輩がいる」と言っただけなのに、律から「色気づいている」と非難され、稟の律に対する苛立ちが爆発する。
家族関係や学校、進路などに悩みながら、お互いを双子の姉弟と偽って過ごすうちに家族以上の大切な関係を築くようになる物語。