あらすじ
白皙《はくせき》の肌に白金の髪、ルビーを埋め込んだみたいに綺麗な赤い目を持つ美貌の少年レム。
二年前、月の女神《マーニ》の加護を受けた月の巫女《シグ・ルーナ》に助けられたレムは、氷と雪と冬の国エルムトで軍神《テュール》となる。
軍神《テュール》とは、月の巫女《シグ・ルーナ》とエルムトの人々を守る男の集団である。
戦うことにあまり乗り気ではないレムに、なにかとお節介を焼いてくるのがおなじ軍神《テュール》であるイヴァン。
黒髪とアイスブルーの目を持ち、容姿端麗なイヴァンだったが、じつはとんでもなく愛の重い男だった。
イヴァンとともに、本土《イサヴェル》から来た要人の警固を任されたレムは、要人の護衛を務める美しすぎる男サミュエルと会ったその日以来、様子がおかしくなる。
そして、夏至の祭り《ユハンヌス》も終わりかけた嵐の夜、事件は起こる。
本土の要人を偽りエルムトに来た者たちは、月の巫女《シグ・ルーナ》の命を狙う暗殺者たちだった。
異変に気付いた軍神《テュール》の仲間を攻撃し、エルムトから姿を消してしまうレム。眉目秀麗な謎めいた男サミュエルと親密な関係にあったレムは、組織から離れられずにエルムトでも裏切り者として扱われてしまう。
自分や月の巫女《シグ・ルーナ》を捨てたレムにショックを受けるイヴァンだったが、彼への思いを捨てきれず、再会のたびに思いを訴える。
本土のイサヴェル、砂と岩と太陽の国ケルムト、そしてエルムト。戻って来いと何度も呼びかけるイヴァンの声に、応えられない理由がレムには隠されていた。
【登場人物】
レム……十六歳。白皙《はくせき》の肌と白金の髪、ルビーレッドの目を持つ美少年。軍神《テュール》の訓練をよくサボっている。
イヴァン……十八歳。黒髪とアイスブルーの目を持つ長身の美青年。男女ともにとにかくモテるが本人にその自覚はない。
月の巫女……シグ・ルーナ。本名はエリサ。十六歳。イヴァンの妹。
ユハ……月の巫女の眷属。嵐の獣。十九歳。辺境伯の十番目の娘。
マルティン……軍神《テュール》の隊長。二十五歳。一人娘を溺愛している。
オリヴァー……軍医。マルティンの従兄弟でレムの師匠。二十八歳。ヘビースモーカー。
ミカル……軍神《テュール》。イヴァンとレムの同僚。十五歳。
アウリス……軍神《テュール》。ミカルの兄。十九歳。
サミュエル……暗殺組織に属する眉目秀麗な男。二十七歳。
バルブロ……暗殺組織のリーダー。短躯《たんく》で出っ歯の醜男。
ノア……暗殺組織に属する孤児の少年。十四歳。
太陽の巫女……ベナ・ソアレ。本名はクロエ。十九歳。
セサル……太陽の巫女の眷属。嵐の獣。十四歳。