あらすじ
「おい、てめえ、ぶち殺すぞ」
なんて野蛮な始まり方だ、と彼は思った。
この小説のことじゃない。彼は登場人物であり、そんなメタ視点など持ち合わせていない。この男、この部屋に来て、第一声がそれとは。なんて野蛮な話の切り出し方だ、と彼は思ったのだ。
話の舞台は、とあるアパートの一室。夜、突然彼の部屋を訪ねた男は、彼の制止も聞かず部屋に上がり込んだ。男が床にドスンと腰を下ろすと、彼も静かに床に座った。そして、男の口からあの発言が飛び出したのだ。
男が無理やり部屋に入ってきた時点で、彼がなぜ「警察を呼ぶぞ」などと強気に出なかったのかというと、彼には「殺すぞ」と言われる心当たりがあったからであり、それは……と、作者は花粉症で目がかゆい。今、目をこすっている間に男が包丁を取り出してしまった。