あらすじ
波多野ミナト、十八歳。
父には女学校を中退させられる、継母には中年男の後妻に据えられそうになる、義妹には実母の形見の着物を奪われる。そんな実家に嫌気が差して故郷を飛び出し、じいやと帝都で暮らしている。
外国語に堪能なミナトは通訳者になろうとするものの、女性がその条件で働くのは危険だと心配性なじいやにとめられてしまった。
「それなら男の人として働くわ。私の髪を売って、揃えのスーツを買ってきてちょうだい!」
髪を切り落として男装し、面接に臨む。そして見事に外国からやってきた商人、ルドルフ=ゴルトベルクの通訳の座を射止めた。
だけどこの男、自分が落とした書類をミナトに拾わせようとするし、そもそも市場の相場が分かっていない。
よくよく話を聞けば、一年間の間に自力で帰りの旅費を稼げなかったら勘当になるらしい。
放っておけなくなったミナトは、商売の勘がないルドルフに振り回されながらも彼のために奮闘する。
だけど彼が海の向こうへ帰ってしまったら、二度と会えない。そう思うとなぜか胸が苦しい。
その上、なぜかルドルフが甘い溺愛をミナトへ注いできて……。
「あなたは、私とどうなりたいの?」
ミナトは戸惑いつつ、彼の愛情を拒めない。