あらすじ

2123年、急激な気候変動に寄る海面上昇に適応するため、人類はその殆どが海上都市に居を移していた。  鯨の形の海上都市に居をかまえる運送屋のニチカもその一人であり、バイクを使って様々な物資を届ける個人運送業を営む人間である。  ニチカがその日受けた仕事は書類の配達であったが、他の仕事も受けていたこともあり、到着までにはずいぶんとタイトなスケジュールを強いられた。到着時間に間に合わせるため、ニチカが裏道である高架橋の下を電気バイクで走っていると、上からバイクが落下してくる。  高架橋の方で玉突き事故が起きたらしく、それに巻き込まれて弾き飛ばされてきたバイクと運転手に驚きつつも対応した後、無事に配達を完了して安心してコンビニで買ったチョコバーを食べた。  食事を取っていれば運転手が所属する配送チームのまとめ役、ツクヨがやってきて、運転手を助けたことにお礼を言われる。ツクヨはかつてニチカが所属していた配送チームに誘ってくれた女性でもあり、ニチカは彼女を置いてチームを抜けていたことをずっと気にしていた。  チームのやり方についていけなかったことと、ツクヨをおいて一人チームを抜けたことを後ろめたく思っていたことをツクヨと話しているうちに懺悔のように吐露したニチカに、ツクヨはバイクの走り方は人それぞれであるし、ニチカを咎めるつもりはないと諭してくれた。  自分は速く走るのが好きでもあり、気に病むほどのことではないと明るく笑い飛ばした彼女の笑顔に、チームを抜けたことをどこかで重荷に感じていたニチカの心は軽くなって帰宅する。  玉突き事故はニュースになっていたらしく、帰宅すればカゲツはニチカを心配していた。彼に大丈夫だと笑いかけ、仕事の報酬である夕食をカゲツと食べるために弁当屋に足を向けた。  ニチカの胸中はトラブルの多いやや災難な日ではあったものの得難い言葉をもらえた日だったという明るい気持ちで満たされ、くじらの街の1日は終わるのだった。

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カクヨム
カクヨム2023/04/10
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