あらすじ

「――私の体は国に捧げました。ですが、心は、心だけは未来永劫おまえだけのもの」  東の小国ホムラの平民サザナミは、貧困を理由に齢十で家族に売られた。奴隷として他国の貴族の家をたらいまわしにされ、凄惨な人生を送っていたが、12歳のときにたどり着いた西の大国アルバスで、運よく騎士団に保護される。  騎士団長アキナに連れられて歩ていると、偶然第一王子のユクス・アルバスと邂逅する。陽の光にきらめくやわらかな金色の髪、菫色の瞳。いかにも貴族らしい出で立ちを目にし、奴隷時代のトラウマを思い出したサザナミは、自らの内に潜む魔力をユクスに向けて、意識を失ってしまう。  サザナミが生まれ育ったホムラは貧しい国だったが、稀に魔力を宿した子どもが生まれることで有名だった。かくいうサザナミも魔力持ちの子どもで、まだ扱い方は知らぬものの、あまりある魔力を己の筋力や体力に補填して使っているため身体能力に優れていた。  失神から目覚めたサザナミがアキナに自分の力について話すと、騎士団で働かないかと誘われる。いくあてのないサザナミは騎士団の一員として働くことに。さらには、あの一件以来、引きこもり王子と名高いユクスに関心を寄せられ、交流を持つようになる。  どうやらユクスは、サザナミの身体に流れる魔力に興味があるようだった。身分の差に戸惑いながらも、ユクスの無垢な心に惹かれていくサザナミ。王族という立場ながら誰にでも平等に接するユクスに憧憬を抱いていることを自覚するも、元奴隷で平民の自分が抱いていい感情ではないと、その気持ちは完全に隠していた。  いつも穏やかに微笑むユクスだったが、陰では「忌み子」とさげすまれ、彼も彼で凄惨な過去を背負っていた。子宝に恵まれていたアルバス王家を巻き込んだ後継者争いで運よく生き残ったユクスは、彼をよしと思わない人々から常に命をねらわれていたのだった。さらには、彼の出生にまつわる秘密もあって…… ユクスと交流を深めるうちに、サザナミは彼の運命に巻き込まれていく――

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カクヨム
カクヨム2024/06/03
  • 現在の作品奴隷少年と引きこもり王子