あらすじ
鏡花一代の名作と讃えられる『歌行燈』(うたあんどん)。
中世、近世の文学に深く根を下ろし、極度に切り詰められた文体で語られる能楽の芸道もの……といえば敷居が高いのですが、物語そのものは、数奇な運命で結ばれた若い男女の恋愛に、芸の師弟の情愛がからむ、きわめてシンプルな感動作です。
現代語訳となると、鏡花一流の華麗な修辞は犠牲にならざるをえませんが、ストーリーの面白さとみごとな構成美を少しは伝えられるのではないでしょうか。
原文は一から二十三の数字の章立てからなっていますが、全体は世阿弥以降の古典芸能の序破急五段の形式に、整然と整えられています。それをふまえて、各章を、序、破の序、破の破、破の急、急の五部にまとめることにしました。
難しい作品なので、掲載はゆっくりになると思います。各部ごとに(あとがき)と題して参考知識などをまとめていますが、読み飛ばしても、後からまとめて読んでくださってもかまいません。