あらすじ
私の名は飯藤芳三、当年とって83歳となる。思えば激動の生涯であった。戦中に生まれて戦争を潜り抜け戦後の困窮を生き延び、高度経済成長、オイルショック、バブル全盛期と崩壊後と様々な時代を駆け抜けてきた。私ほどの経験を積んだ者はそうはいないだろう。
あの頃の苦労を知らない若者たちを見ると、彼らがいかに甘やかされて育ったかがよくわかる。私のように、毎日を必死に生き抜くことの尊さを教えてやりたいものだ。今の時代は便利すぎて、彼らには本当の苦労が何かを理解する機会がない。私が若かった頃と比べると彼らの怠惰さに呆れてしまう。
今の若者たちが将来をどう乗り越えるのか、私には見当もつかない。結局のところ、私たちのような世代が築き上げてきたものを、ただ享受しているだけに過ぎないのだろう。私がいかに立派な人生を送ってきたか、彼らには到底理解できないに違いない。私の言葉に耳を傾け、少しでも学んでくれればよいのだが。