あらすじ
宇宙へ飛び出すことになった日本人の少年少女たちと、宇宙の夜明けの時代の物語。
「みなさん、上を見上げてください。かつてわたしたち人類は、母なる星、地球の大地から、この星空を見上げていました。星々に願いを託し、思い出を託し、様々な物語を語り継いできました。今、わたしたちは言葉でしか行くことのできなかった星空の世界にいます。見上げた星々の1つ1つにわたしたちは住み、空を流れる天の川にはわたしたちの大切な友人たちが住んでいます。そしてきっと、いつか出会う友人たちもどこかに住んでいるのでしょう。この宇宙でわたしは多くの人と出会い、別れました。辺境で多くの死を見つめたこと、血の色の違う親友たちと初めて会った時のこと、銃で守られたこと、人を殺す覚悟を決めた時のこと、わが子に再会した時のこと、止まらない血を止めようとしてくれた人と血をくれた親友のこと。どれも忘れられない思い出です。時に悲しい涙をはらみながらも、希望と可能性にあふれたこの宇宙をわたしは愛します。しかし、この宇宙にあふれた可能性は、人類の存在を、故郷の在り方を変えようとしています。わたしは母なる星、人類の故郷である地球を愛しています。しかし宇宙も愛しています。この2つの愛は時に対立し、争いを生んでしまいました。どちらの愛もわたしは否定することができません。しかし、赤い血が流れるような悲しい風景を、わたしは子供たちに見せたくありません。この広い宇宙のどこに住もうとも、一滴でも太陽のように赤い血が体に流れている人たちは家族であると、太陽の暖かさで育った太陽の子供たちであると、わたしは信じています。」
2×××年 太陽系会議にて
地球による太陽系連盟(LSSE)戦略局戦略第1課長 ウエキセンカ