あらすじ
民間人向けの月旅行が実現し、それから少し経った後のことである。
月に行ったある旅行者が、月の石を手土産に地球に持ち帰り、周囲の人々に配った。もちろん、旅行会社は想定済みで、それを売り文句にしていた。
だが、月の石には作物の成長を促進する効果があることがわかったのだ。
民間人向けの月旅行が解禁される前も、月の石は宇宙飛行士の手によってたびたび地球に持ち帰られ分析されていたが、有害でもなければ特にこれといった利もないと、研究者たちの間でいつしか興味が薄れていた。(月の次は火星だ、金星だ、と他に目が向けられていることもあった)しかし今回、月の石を土産に持ち帰った旅行者のうち、農業を営むある男が自分の畑にそれを撒いたことで、その効果が明らかになったのだ。