あらすじ
「おーすっ、わざわざ来てやったぞぉーい」
と、ドアを開けるなり友人がそう言い、ぐいとこちらに顔を近づけてきた。
おれは奴を部屋の中へ迎え入れたが、釈然としない。いきなり訪ねてきて「わざわざ来てやった」とはなんだ。この野郎が。
「なんだよ、麦茶かよ。年寄りくせえな、お前」
ベッド、それも枕の上にドカッと座った奴は、わざわざ飲み物を用意してやったおれにそう言った。
おれは自分を「おれは心が広いんだ」と慰めた。
「で、わざわざ何の用だよ。いきなり来てさ」
と、皮肉で反撃してみたが、図太い性格のこいつは意に介さないだろう。たまにこいつが羨ましくなる。これは皮肉ではなく。
「ははははっ、いやぁ、お前が電話を持っていれば、こうしてわざわざ会いに来なくてもよかったのになぁ」