あらすじ

……助かった。安堵と嬉しさに体が震え、おれは思わず涙をこぼしそうになった。ヘリだ、救援のヘリが来たのだ! おれは立ち上がり、ヘリを視界に捉えながら、まばたきを繰り返した。ああ、夢じゃない。向こうも確実にこちらの存在に気がついている。いや、当たり前だ。石で作ったこのSOSの文字が、あの距離で見えないなら馬鹿もいいとこだ。 社会学者であるおれは、テレビやネット番組のコメンテーターをメインの仕事の他に執筆や講演会で全国を飛び回っていた。しかし、船で移動中に難破し、この孤島に流れ着いた。どうせすぐ助かるだろうと思っていたので、正確な日数は数えてはないが、数ヶ月経ったことは間違いない。 そう考えると、おれのような著名人が行方不明になったのだから、もっと早く見つけるべきだ。何をしていたんだ。と思うが、ここは抑えることにしよう。今は――と、どういうわけだ。ヘリが遠ざかっていく……。燃料切れ間近だったのだろうか。なんて無能なんだ。いや、しかし、見つかったことは間違いない。助かることに変わりはないのだ。 おれはそう考え、再び浜辺に腰を下ろした。それから待つこと二時間。思ったとおり、再びヘリがやってきた。

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小説を読もう2024/06/16
  • 現在の作品社会の遭難者